最近では、ウェブサイトを作るという作業も一般化しているので、制作を発注するクライアントの側でも、あらかじめサイトマップやワイヤーフレームを描いている場合が少なくありません。あるいは、既存のサイトがあってリニューアルするといった場合でも、制作の前提として、既存のサイト構造があることになります。このように、クライアントからサイト構造の提示があった場合に、制作側としてどんなことを考えるか、あまり複雑でない場合の、簡単な考え方について書いてみようと思います。
「コンテンツのカテゴリ」と「サイトの機能」を分ける
クライアントが描いたサイトマップやワイヤーフレームがある場合、まず一番に確認するのは、そこに描かれたリンクが、「コンテンツのカテゴリ」なのか、「サイトの機能」を提供するものなのかを、分けて考えることです。
「コンテンツのカテゴリ」というのは、サイトに訪れるユーザーが求めているコンテンツと考えることができます。一方、「サイトの機能」というのは、お問い合わせ先やQ&Aなど、サイトを見ていくうえで助けになるような情報や機能を指します。これらが混在していると、ユーザーがサイトに訪れた目的を達成しにくくなってしまいます。基本的なことですが、いったんこれを分けて考えることで、デザインするうえでも、整理して考えることができるようになります。
細かすぎる分類、深すぎる階層をチェックする
ウェブサイトのサービスを提供するクライアント側というのは、当然のことながら、サイトの全体像を知っています。知っているということは、メリットであり、デメリットでもあります。いったん知ってしまったことは、知らなかったことにはできません。内容を知っているほど、内容に即した、きちんとした分類をする、あるいは、してしまいます。そうすると、分類が細かすぎたり、階層が深すぎたりしてしまう傾向があるのです。
ところが、ユーザーがそのサイトに初めて訪れた時には、サイトの内容もよく知らないし、ましてや、サイトの構造・全体像など把握できてはいません。サイトのなかの情報は、ナビゲーションのラベルなどから判断することになります。
ユーザーにとっては「内容に即した、きちんとした分類」よりも、もっと「ふわっとした感覚で理解できる」ことが重要になる場合があります。論理的な思考も大切ですが、人間は常にキレキレに、論理的に考えているわけではないので、あまり深く考え込まなくてもわかるように整理し直す必要があるのです。
サイトを作るサイドとしては、こうしたクライアント側とユーザー側の間に立って、論理的に整理しつつも、感覚的な部分でもすんなりとわかるような形で、サイトの構造やラベリングを再考することで、後のデザイン作業がスムーズに進められるようになります。
もちろん、ウェブサイトはさまざまで、これだけ処理できない複雑なケースはたくさんありますが、「クライアント側で整理してくれたからそのままでいい」ということではなく、このくらいのことだけでも考えておくとよい場合があるように思います。