解像度に依存しないUIへの流れ

Ratinaディスプレイの登場で、Ratinaディスプレイを考慮した画像解像度の画像が必要になっていたりするが、実際のところ、スマートフォン/タブレットで拡大表示すれば、Ratinaディスプレイでなくても、解像度をいくつにしていてもどこかで荒れた状態にはなる。Ratinaディスプレイの登場以前に、すでに画像解像度とモニター解像度の関係が1対1ではなくなってしまっていたことになる。(それ以前にも厳密に1対1だったわけではないが)

これまでは、「美しい書体を使ってきれいに表現したい」という理由で見出しを画像にしてきたが、スマートフォン以降の時代では、同じ理由で見出しを画像で表現するのをやめることになる。写真はともかくとして、できるだけピクセルベースの画像をUIの部品から排除するということが、Webデザインで求められるようになってきている。これまでWebはピクセルという単位が基本になってきたが、そこからできるだけ離れて、画像解像度に依存しないUIへと動きはじめているし、そのための技術も出揃ってきている。フラットデザインも、レスポンシブルレイアウトも、CSS3やWebフォント、Bootstrapといったものも、すべて同じ文脈で捉えることができる。

Fireworksの開発中止というのも、これと同じ文脈で考えられる。もともと、Dreamweaver & Fireworksはテーブルを使ったレイアウトを効率的におこなう制作環境として登場した。CSSでのレイアウトが中心になってから、CSSに対応しようとし続けてきてはいるものの、決定的なツールといえるところにまでは到達できていなかったと思う。とはいえ、Fireworksはまだまだ実用的に使えるし、本当は、この流れでいったらFlashが便利ってことになるはずなんだけど、世の中ややこしい。

Webの技術を個別に見ていると、それぞれは速いスピードで変化しつづけていると感じてしまいがちだし、実際そうではあるのだけど、大きな流れ、文脈をつかんでいると、それほどむやみに、勝手な方向に動いているわけではないと思う。こうした大きな流れの向きをできるだけ感じとることが必要だと思う。