「○○しやすい」という価値

漫画夜話でハチクロを取り上げていて、
コマ割の分析がおもしろい。
そんなに読みにくいとは思わなかったけど、
見直してみると、確かに文字が多いし、
コマ割も結構、複雑。

ユーザビリティとかいうけれども、
「○○しやすい」というだけが価値がある訳じゃない。
どんな分野でも中身がおもしろければ、ついてくる。
ユーザビリティというのは、
中身のつまらなさを不問にするため
口実という面もある。
「そもそも内容が悪い」というと
すべてが否定されてしまうので、
デザインのせいにしたりするんだよね。
というようなことも考えてしまう。

このなかで岡田斗司夫氏が、
天才の存在というような部分にこだわっていたけど
自分の内面と技術力による表現の天才というのは
とてもロマン主義的で、19世紀か、
せいぜい60年代までだろう。
狭いコミュニティのなかでなら賞賛されても、
世界の美術マーケットのなかで、
一定の地位を占めるのは無理だと思う。
この手の物語が、
どうしても古い天才の概念にとらわれていて、
ロマン主義的芸術観から離れられないのは
少し残念に思う。