音楽にとっての鍵盤

大人の科学「シンセサイザークロニクル」
アマゾンにはまだあるようだが、
サイトでは、すでに重版予約になっている。
付録だけでなく、雑誌の記事も力が入っていて
とても面白い。

アマゾンの書評を見ていると、
これでは音階を弾くのは無理
というような意見が結構ある。
それは、「鍵盤」というものに
毒されすぎなんじゃないかと思う。

無段階の音程というのは、
バイオリンもトロンボーンも同じだし、
そのほうが表現力の幅は、本来広い。
トランペットには3つしかキーがなく、
組み合わせたとしても
それほどの音が出せない。
口で倍音をコントロールすることで、
幅広い音程を出している。
サックスでも、同様な音の出し方をする。
どちらも細かい音程は、唇で調整する必要がある。
楽器というものを俯瞰してみれば、
鍵盤楽器というのがむしろ特殊ともいえるわけで、
鍵盤がないから楽器として使えないというのは、
まったく、当てはまらない。
そもそも、楽器というのは、
それくらいの熟練性を必要としているものなのだ。
そういう意味では、今回のアナログシンセを
TENORIONのような
簡単に演奏できる路線ではない方向にしたのは評価できる。
それこそが、「大人」の科学(音楽)なんじゃないか。
もちろん、価格の問題が大きかったのだろうけど。

鍵盤が五線紙に書かれた音楽を理解する上で、
最も適しているのは確かだろう。
しかし、トランペットやトロンボーンの
倍音による構造は、
それとは別の意味で、
物理法則がそのまま見えてきて、
とても論理的に見える。
もちろん、弦楽器も同様だ。
鍵盤から離れて音楽を見るということも
必要だと思う。