うまいそばやうどんは簡単には作れない

著作権関係のニュースが多い。

IT Mediaの記事では、著作権延長に関する討論で
「自分の死後、家族の生活を守りたいと思うのは、
 作家もそば屋やうどん屋の主人も同じ。
 作家の遺族は著作権法で保護されるが、
 そば屋・うどん屋の遺族を守ってくれる
『そば屋法』や『うどん屋法』はない」
という意見に対して、松本零士氏が
「そばやうどんと一緒にしてもらっては困る。
 作家の作品は残るが、そばやうどんは私にも作れる」
 と反論したらしい。

2次情報で他人を批判するべきではないが、
商品として出せる、うまいそばやうどんは
簡単には作れない。
江戸の文化を伝える蕎麦ほどの価値を
松本零士の漫画が持っているといえるだろうか?
うどんや蕎麦などで培われてきた
日本の職人仕事の蓄積なしに、
アニメーションや印刷物としての漫画が
制作できるかどうかを考えてみるべきだ。

Winny開発者の判決について
ブログでも賛否両論あるようだが、
金子氏けしからんとかいって、
ニュースの記事を、出典も明らかにせずに、
全文引用しているブログが結構ある。
それ自体、著作権を侵害している。
幇助どころか、実行犯になっていながら
他人を批判することはできないだろう。

データの共有技術を著作権侵害の幇助とするのは
たとえ作者がその可能性を意識していたとしても
あまりにも拡大解釈すぎて、
法律解釈の範囲を超えていると思う。
同じ解釈を適用すれば、ほとんどのIT産業関係者を
有罪にすることができる。

同じ日にJTBの本社が著作権侵害で家宅捜索された。
旅行のパンフレットの写真を、
契約の範囲を超えて使用したということのようだ。
ニュース記事では写真家といっているが、
レンタルフォトと書いているものもある。
これは、よくあることだ。
「会社案内のこの写真を使って」といって、
それがレンタルフォトだったら、
このようなことは簡単に起きる。
社内でも、会社案内を作った人しか
レンタルフォトだということを知らないし、
レンタルフォトを別の用途で
使用してはいけないこと自体
知らない人が大半だろう。
そもそも、レンタルフォトでなくても、
会社案内のために撮影した写真を
ほかの用途で使うためには、
本来は撮影者の許可が必要だ。
写真だけでなく、イラストや文章も同様。
同じ表現を、コピーライターに無断で
あちこちで使っているケースは多い。

今回の件は、いきなり家宅捜索するなど
あきらかに見せしめ的だ。
デザインや原稿書きをしている身としては
ありがたいことではあるのだけど、
やり方にはかなり疑問だ。
これまで、こういったことに
ほとんど動くことがなかった警察が、
しかもJTBの子会社の問題で
なぜ、JTB本社の家宅捜索という事態になったのか?
あまり話題になっていないようだけど、
何かウラがありそうな気がしてしまう。