29歳

中田の現役引退が話題になっている。
おそらく、中田は「辞めた」のではないのだろう。
29歳という年齢は、
新しいことを本格的にスタートするには
いい歳だと思う。
「新たなスタート」という名の「余生」ではなく、
本当のスタートをするためには
今でなければいけなかったのではないか。

サッカーの面からすると、
日本でスターになる「トップ下」の「司令塔」は、
ヨーロッパではほとんど必要とされていない。

各国のリーグで、優勝を争える可能性のあるチームは
多く見積もっても5-6チーム。
それ以外は、降格ラインから、
勝ち点10以内くらいのところに固まっている。
これらのチームは、どこもしっかり守ってカウンター
というスタイルになるので、
中田や中村が生きるようなサッカーはできない。
優勝を争うトップチームでも
トップ下をおかないチームがあるので、
リーグ全体でも、トップ下のポジションで
テクニカルな選手が求められているのは、
数チームしかない。
中村のように、スコットランドとかにいくしか
自分を行かせるところがないことになる。
スコットランドでも、監督が違ったら、
中村の出場機会も、激減していただろう。
日本のスター選手がヨーロッパにいっても、
そもそもポジションがないのだ。

ワールドカップの中継を見ていて、
イングランドのジェラードやランパードを
アナウンサーが「ボランチ」というのは、
とても違和感があった。
イングランドは基本的にフラットな4-4-2なので、
ジェラードやランパードはボランチじゃないだろう。
ただ、アナウンサーがそういってしまうのは、
日本のサッカー界全体が、
「ボランチ+トップ下」型の
非常に硬直したシステム観をもっていることに
原因があるように思う。
ヨーロッパのサッカーでは
フラットな4-4-2や、オランダの4-3-3など、
「ボランチ+トップ下」型が
主流というわけではないのに。