「アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶」
を見る。
「過去はげっぷのようなものだ」
フランス人らしい表現だ。
写真の撮影は、音楽、
とくにアドリブ演奏に似ていると思う。
瞬時に選び取った判断が、
考え抜いた思考を超えることが少なくない。
しかし、その瞬時の判断を支えているのは、
身体に染み込ませた構造であり
構成化された美意識なのだ。
音楽の場合はスケールやその組み合わせによって
ある程度、理論化されているが、
もっと重要なのは、
一つひとつの音楽から、
自然と抽出されて、身体に染み込んだ
無意識が抽象化したライブラリなのだ。
ブレッソンの場合は、子供の頃に模写した
ルーブルの絵画などから自然と抽出されて、
身体に染み込んでいたように感じた。
視覚的な構成を考えるうえでは、
面白い映画といえる。