入れ物

昔、「CD-ROM=マルチメディア」みたいに言われた頃、
どこかで聞きかじった知識で、
「CD-ROMには映像が一時間以上入るんでしょう」
などと言われることがよくあった。
そんな時は、
価値のあるものなら、一行の言葉でも、
一つの数式でも、一枚の画像でも価値はあるし、
くだらない映像が何時間入っていても
価値はないのだといったものだが、
あまり理解はされなかったように思う。

みんなが情報の入れ物についてばかり語っている。
メディア論というのは、結局のところ、
そうなってしまう。
でも、本当に重要なのは、
いつでも、「何を語るか」でしかない。
一つの言葉に、何を込めることができるか、
語るべき何かを持っているか。
その部分を抜きにして、
入れ物についてばかり語っても、何も生まれない。